志賀原発の危険性と断層問題
講師 原発問題住民運動石川県連絡センター 児玉一八氏
5月14日富山市内において、「志賀原発の危険性と断層問題」の講演会が開催されました。講師は原発問題住民運動石川県連絡センターの児玉一八氏で、原子力防災計画・訓練の問題点についても指摘されました。
原発周辺や直下の活断層が問題になっています。原子力規制委員会が現地調査を行うものだけでも、北陸電力・志賀原発を含め6原発にのぼります。
志賀原発は、2012年7月の原子力安全・保安院の意見聴取会で、1号機原子炉建屋直下の「S-1」断層に関して、委員から「活断層そのものではないか」、「よくこんなのが審査を通ったな。あきれて物も言えない」と指摘されています。
再調査を指示された北電は昨年12月に最終報告書を提出しました。北電は志賀原発の東約1kmを走る福浦断層について、「活断層ではない」としていたのを「活断層の可能性が否定できない」と変更しました。そして規制委員会は今年2月に専門家チームによる現地調査を行いました。
児玉氏らは、志賀原発周辺の活断層と断層群について立石雅昭・新潟大学名誉教授と2012年から調査を続けています。
今から13万~12万年前頃に堆積した海の砂が、現在どれほどの標高にあるかを調べて、異なった高度に分布していれば、それは海岸域で地殻の上下変動が起こったことを示す指標になります。
原発周辺では約20m、北約5kmでは約50m、そして北約9km(富来川南岸断層の北)で20mとなっており、富来川南岸断層が過去に繰り返し発生させた地震が原因であることを証明しています。
また、昨年10月には、原発の北2kmにある福浦灯台下の海岸で断層群や海食ノッチなどの調査をしました。海岸周辺の隆起がなければ、ほぼ同じ海面高度だった約6000年前と12~13万年前に形成されたノッチは同じ高さです。
調査では、2段のノッチが認められ、この海岸が、おそらく地震の度に隆起してきたことを示しています。また、その高さの差をもたらす活断層が存在することも示唆します。
海食ノッチ…海食窪ともいい、波食作用や海水の溶解作用によって海食崖の下部にできるくぼみ。
福井地裁 大飯原発再稼働差し止め
5月21日、関西電力大飯原発3、4号機の再稼働指し止めを求めた訴訟で、福井地裁は、2基について「運転してはならない」と言い渡しました。東京電力福島第1原発事故後、運転差し止めを命じた判決は初めてです。
判決では、大飯原発から250㌔圏内の住民は、運転によって人格権が侵害される具体的な危険があると述べています。
原発の運転差し止め訴訟で住民側が勝訴したのは、金沢地裁が2006年、運転中だった北陸電力志賀原発2号機の差し止めを命じて以来です。
250㌔というのは、福島第1原発事故直後に、原子力委員会委員長が首相に提出した「最悪のシナリオ」で、170㌔まで強制退去、250㌔まで自主避難を検討していたもので、それを握りつぶしていたのです。.南砺市は志賀原発から50㌔から70㌔の範囲にあります。