日本科学者会議 第35回 原子力発電全国シンポジウム
1日目 福島原発事故から3年半
日本科学者会議主催の「第35回原子力発電問題全国シンポジウム」が、8月30日、31日の2日間金沢市で開かれました。テーマは「福島原発事故から3年半~事故の現状と再稼働の動き、活断層問題」でした。
1日目は第1部「福島原発事故から3年半~現状はどうなっているか」をテーマに4氏が報告しました。
福島大学の清水修二副学長は、「3年半を経過した福島県民の現実と打開の展望」を報告。住民を放射線被ばくから守る取り組みが行われ、健康調査が進む一方、いまだに多くの県民が将来の健康被害を不安に考える深刻な現状がある。復興は困難な仕事だが、科学
的な見方にもとづき冷静に粘り強く取組むことが重要と語りました。
日本大学の野口邦和准教授は、「放射能汚染をめぐる状況」を報告。当面の緊急課題の放射能汚染水について、地下水の流入を減らす手立てに全力を尽くすのと同時に、汚染水を安全に保管する2本立ての対策こそ求められると述べられました。
電力中央研究所元主任研究員の本島薫氏は「世界と日本の原発をめぐる動き」を報告。
元中央大学教授で、現在核・エネルギー問題情報センターの舘野淳事務局長が「福島事故解明の現状と再稼働問題、廃炉への道すじ」をテーマに報告しました。
4氏の報告に対し、それぞれ質疑が行われ、最後にまとめて討論が交わされました。
2日目 原発の耐震安全性と活断層問題の状況
2日目は第2部「原発の耐震安全性と活断層問題の状況」をテーマに3氏の報告と討論が行われました。なお、シンポジウム終了後(31日午後)、希望者を対象に現地視察が行われました。
新潟大学の立石雅昭名誉教授は「原発の耐震安全性問題と新規制基準」と題して報告。原発の新規制基準で、12万~13万年前以降に活動した断層を活断層とし、それ以前のものは活断層としないとしていることを、「これは『希望』にすぎない。科学を装った欺瞞だ」と批判しました。全国で電力事業者が震源断層を過小評価していると指摘されました。
科学者会議石川支部の児玉一八氏は「科学者・住民の調査が明らかにした志賀原発周辺の活断層問題」として、同支部と住民団体が行ってきたボーリング調査が、北陸電力が否定してきた志賀原発周辺の活断層の存在の可能性を明らかにしてきた事を報告されました。
また、富来川南岸断層の隆起運動が継続している調査結果にもとづき「北陸電力は基準地震動の再検討、科学的な活断層調査を行うべきだ」述べられました。
科学者会議福井支部の山本雅彦氏は「若狭湾岸の原発と断層、再稼働問題」として、大飯原発の非常用取水路直下の断層を活断層ではないと関西電力が主張しているが、データが不足しており断定できないと指摘されました。会場からの質問に「廃炉によって雇用も生まれる。バイオマス発電などの動きもでている」と話されました。