志賀原発と活断層
富来川南岸断層と原発直下の断層は連動
原発の東約1kmの福浦断層も活断層
志賀原発の直下と四方に活断層があります。昨年発行された著書、原発問題住民運動石川県連絡センターの児玉一八氏の「活断層上の欠陥原子炉志賀原発」と、新潟大学名誉教授立石雅昭氏の「地震列島日本の原発」(東洋書店刊『科学と人間シリーズ』5・7)から、志賀原発と活断層について紹介します。
志賀原発の北約9kmの富来川南岸断層が活動すれば、原発直下の断層(S―シーム)も連動して動き、原子炉建屋などに深刻な影響をもたらす危険がある。
原発の耐震安全性に関しては今から13万~12万年前頃に堆積した海の砂が、現在どれほどの標高にあるのかが問題となる。海成段丘の内縁にあたる旧汀線(海岸線のこと)は、海岸地域における上下変動を示す重要な地形である。
同じ時代に形成された旧汀線が、現在では異なった高度に分布していれば、それは海岸域で地殻の上下変動が起こったことを示す指標となる。約12万年~13万年前の最終間氷期最盛期に形成された海成段丘は、各地で普遍的に見られており、M1面(よく発達する中位の段丘面のうちの主要な面)と呼ばれる。
渡辺満久・東洋大学教授らは2012年5月、富来川南岸断層が、原発の耐震安全性を検討する際に考慮する必要のある13万~12万年前以降に動いた活断層である可能性が高いことを、日本地球惑星科学連合の年次大会で発表した。
渡辺氏らはM1面の標高に注目し、原発周辺では約20mであるのが北に向かって高くなって、原発の北約5kmでは約50mになるが、原発の北約9kmの富来川北岸では20mと急に低くなっていることを明らかにした。このようなM1面の高さの違いをもたらした原因は、富来川南岸断層が過去に繰り返し発生した地震である。
M1面はこれまで、地形図から読まれたものだったが、富来川南岸断層の活動を実証するためには、13万~12万年前に堆積してできたM1面を実際に確認することが必要になる。
児玉一八氏ら原発問題住民運動石川県連絡センターと日本科学者会議石川支部は、立石雅昭氏(新潟大学名誉教授)と2012年に予備調査と3回にわたるボーリング調査(上図)を行い、実証された。
渡辺・鈴木氏は(2012年)、海域の地形をもとに、この富来川南岸断層が富来川の河口部で屈曲し、原子力発電所敷地沖合に連続する可能性を指摘した。
原子力安全・保安院は福島原発の苛酷事故を受け、既設原発についてその耐震安全性を見直してきた。2012年7月17日「第19回地震津波に関する意見聴取会」において、志賀原発の敷地内断層(S―1シーム)についても北陸電力からの説明を受け、その活動性に関する審議が行われた。
地震を引き起こしうる活断層の活動年代の目安を40万年とする地震調査研究推進本部の考え方に沿えば、原発の東約1kmの福浦(ふくら)断層も活断層である。