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読者ニュース2015年8月2日NO.181

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「小中一貫教育」の制度化は

統廃合を推進し、「中1ギャップ」解消せず

 市議会の自民クラブでは、「学力向上や中1ギャップ緩和等に効果がある小中一貫教育の取り組みを積極的に推進する」ことを市への要望(政策提言)、代表質問でも取り上げています。市は議会で「小中連携型教育をすすめており、利賀、井口地域で小・中学校の教員の相互乗り入れ授業を進め、小中一貫教育も視野に入れた調査研究に取り組んでいる」と教育長が答弁をするにとどまり、「小中一貫教育」の制度化についての見解は明らかにしていません。

 そこで「「小中一貫教育」制度化について考えてみました。 

 今年3月、政府は小中一貫教育をおこなう「義務教育学校」を制度化する学校教育法改正案を閣議決定しました。

 「小中一貫教育」の制度化には、三つのねらいがあります。一つは、学校統廃合です。財務省からは、全国600校を廃止する試算も出されています。今回の制度化は、統廃合を進めるための強力なテコになるものです。

 二つ目は、現行の「6・3」制を改変して競争主義を強め、すべての子どもに対する平等な公教育制度を解体することです。「質の向上」を自治体に求めており、普通の学校との格差が生じることを想定しています。

 三つめは、小学校から英語教育や職業教育など財界が求めるカリキュラムを取り入れ、国際競争力強化に貢献する人材の育成です。ただし、「エリート校」創設はごく一部で、多くは統廃合のために利用される可能性が大です。 

 「小中一貫教育」は、中学1年からいじめや不登校などが増えるという「中1ギャップ」について、学年の区切りを変えることによって解消するとしています。しかし、「中1ギャップ」は、中学校進学時の過度な管理教育、競争教育によって生じるものです。

【岩波書店刊・安倍「教育改革」はなぜ問題か・藤田英典著】より

いじめ・不登校グラフ

 図上の「学年別いじめ認知件数」は、中1が小6より1万件増加は「中1ギャップ」というが、小1から最も多い中中1を線で結ぶと、小5はやや少なく、小6は著しく少ない。

小4前後から思春期・青年期前期の難しさを抱え、中1でピークに達する。小5と小6で少ないのは、上級学年・最上級学年という自覚と、自己制御することになる。

 図下の「学年別不登校児童生徒数」でも同様の指摘ができる。「中1ギャップ」と言われる小6から中1への大幅増は説明できても、中1から中2への大幅増は説明できない。

 中学校では学力・能力や魅力・人気の競い合いも強まり、さらには学校内の規律・統制も強まっていく。そうした「中学校文化」の影響が中1よりも中2・中3へと学年が上がるにつれつよくなり、特に中2でその影響がより深刻になると考えられる。 

【中1ギャップ】:中学校への進学時に学習や生活の変化になじめず、問題行動となって  表れること。

【小中連携型教育】:小中学校が情報交換や相互交流を行い、円滑な接続を目指す教育。

【小中一貫教育】:義務教育9年間を通じた教育課程を編成し、系統的な学びの場をつくり出す教育。

 

 

 

 

 

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