読者ニュース 2016年8月7日 NO.205
利賀ダム検証意見聴取会
砺波会場 賛否8名、高岡会場 否1名が意見発表
国土交通省北陸地方整備局は、6月17、18の両日、砺波市と高岡市で「利賀ダム建設事業の検証に係る検討報告書(素案)に対する関係住民の意見を聴く場」を開催しました。
また、21日には、富山河川国道事務所で、「同、検討書(素案)に対する学識経験を有する者等からの意見を聴く場」が開かれました。
最初に整備局から報告書(素案)に対する概要説明があり、その後1人10分ほどの意見表明がありました。砺波会場では、ダム本体建設に反対の意見が4名、賛成の意見が4名で、高岡会場は反対の意見の1名だけでした。
砺波会場での中島満南砺市議が述べた意見の要旨を紹介します。
これまで利賀ダムの治水効果は少なく、ダムの湛水により地すべりが懸念されること。仮に「本体工事」に着手しても、工事中であっても、住民が工事用道路を通行できることを求めてきた。
【地すべりの懸念】
検討の場に配布された資料は、報告書(素案)の330ページを含め、全体で460ページだが、地すべりに関しては、資料でたった2ページしかない。対策を必要とする地区を4地区から7地区とし、金額は93億円から19億8千万円増の112億9千万円だが、物価変動・消費税率改定を含めており、地すべり対策費は4億2千万円しかない。十分な検討が必要だ。
【総事業費と工期】
利賀ダムの総事業費は1,150億円、完成は平成34年度だ。今回の「総事業費の点検」では、27年度までの実施済額が431億6千万円で、事業費ベースの進捗率は37・5%。総事業費を約1,276億円に増額した。
「工期の点検の結果」として、「工事用道路(転流工進入路)着工から事業完了までに13年程度を要する見込み」としている。しかし、あと何年で、転流工進入路に着工できるのかは書いていない。
近年の事業費は年間20億円程で、残事業費844億円を20億円で割れば、42年となる。予算が大幅に増額されても、工事には手順があり、単純に工事期間を短縮できるものではない。当然いつまでの完成を目指すのかを示すべきだ。
【工事用道路の利用】
平成21年のダムの見直しでは、「基本的に、用地買収、生活再建工事、転流工工事、本体工事の各段階に新たに入らず、現段階を継続する」としている。利賀ダムは現在、「生活再建工事」の段階であり、次の段階である「転流工工事」に入るかどうかは決まっていない。当然工事用道路は、「生活再建工事」であり、完成する。
利賀村地域の住民が、利賀ダム建設に最も大きく期待しているのは、冬期間でも安全に通行できる道路だ。住民の気持ちに応えるには、本体工事の中止が一番だ。中止すれば、道路が完成した時点から通ることができる。仮に、本体工事に着工しても、地域住民が利用できるように配慮すべきだ。
意見は、他にも治水問題、ダムでなく、河川整備を優先すべきという意見も出されました。
一方、賛成意見としては、住民は早い道路の完成を望んでおり、ダムを早く建設してほしい。過去の台風で洪水が怖かった。というもので、賛否のバランスを考えた意見とみられました。
今回の意見表明は、住民の意見を聴いたというアリバイ作りの場でもあるが、意見を述べなければ、「住民からは、まったく異論がなかった。関係住民のすべてがダム建設を望んでいる」ということになります。